足底筋膜炎のお話し May/2021
当院では、年間数名の方からこの病の相談を受けます。この病気の特徴は、朝起きて最初の一歩を踏み出したとき、あるいは運動したとき、足の裏に激痛が走るのが特徴です。足のかかとから指の付け根にかけて広がる筋肉を覆う足底筋膜(足底腱膜)が炎症・断裂を起こす病気です。
足底筋膜炎の原因は、悪い姿勢です。日常生活で前傾姿勢が多いと肩、腰だけでなく足底まで影響が及びます。通常人の身体は背骨の生理的弯曲により足底の親指・小指・踵の3点が体を支え、足の裏の重心が正しい位置を保っています。しかし、前傾姿勢が多いと重心は爪先側になり、足底の接地面積が広い扁平足になります。扁平によりアーチ構造が潰れ足底筋膜にかかる負担が増加するため痛みが発生します。
その他には運動不足も足底筋膜炎の原因になります。
一方、運動過多でも発します。身体の切り返しの多いスポーツで発生確率が高くなります。
また、足場の悪い場所で作業や接客業など業務に携わる方にも多く見られます。女性の先のとがったシューズやパンプス、体重の増加で下肢に負担が多い方も注意が必要です。土踏まずのアーチ構造が崩れると、足の裏の筋膜はわずかな衝撃でも炎症・断裂を起こしやすくなります。
整形外科では、湿布やインソール(中敷き)、体外衝撃波治療などの治療を行います。大切な事は日常生活で再発を防ぐための努力として姿勢を正し足底への負担を少なくするための生活改善です。
セルフケア
症状のある足底筋を弛めるストレッチなどが有効です。
また足底を自らの手で優しく解す事も効果があります。
また、医療行為として体外衝撃波治療があります。この治療は体外で発生させた衝撃波(圧力波の一種)を患部に照射して痛みを取る方法です。理学療法や薬物療法などを受けても症状が改善しない難治性の足底腱膜炎に対して行われます。
参考文献:ヘルスUP 日経Gooday