タンパク質不足で筋肉量が減る?
Dec/2020
かきざわ整体院

日経Gooday「筋肉とタンパク質」 立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授の記事を要約・加筆してお伝えします。
筋肉は20~30代をピークに減退し40歳以降では約8~10%、70代以降では15%減少します。筋肉の減少は運動機会の有無だけで無く健康な人の誰にでも起こる事実です。

今年は、コロナ禍にあり活動量の低下が著しい。これを機会に朝のウォーキングなど心掛けている方も多いと思いますが、減量目的で朝食を抜いたり、タンパク質不足な状態で運動しても効果は得られません。運動により糖質や脂質が消費され次に筋肉が分解されるからです。
タンパク質を補給せぬまま運動しても結果が得られず終わります。その結果、運動をやめてしまいフレイル状態やメタボリックシンドローム状態に陥ることになります。
タンパク質は、筋肉や血管、内臓や皮膚、ホルモンや酵素といった全身の組織の材料であり体重の3~4割。教授は、筋肉中の8割がタンパク質によって構成されていると述べています。故に、運動にかかわらず日常からタンパク質を食事やサプリメントで補うことが欠かせないのです。

さらに、近年の研究から1日、朝・昼・夜、均等に十分な量のタンパク質を摂ることが筋肉合成のカギと言えます。ドイツで194人、75歳以上を対象にした実験では、朝食のタンパク質不足はフレイル(身体的機能や認知機能の低下が見られる、介護リスクを高める状態)のリスクが有意に高くなったと報告しています。

それでは1日の筋肉合成に必要なタンパク質量の目安はどれ位か?
教授によれば、主にデスクワークなど軽い運動量では、1日、自重1kgあたり約0.9gであり厚生労働省の示す基準と同様である。体重60kgの人では、60×0.9=54gが目安となります。また、若者を対象した3食のタンパク質摂取配分と筋肉量との関係を調べた研究では、3食の食事でタンパク質摂取の基準量をクリアした群では、筋肉量(除脂肪量)が有意に高く、朝食を抜いている群では筋肉量が少なかったと述べています。

朝のタンパク質摂取は重要!
 朝食時、卵やヨーグルトを取っているから大丈夫は要注意。「トーストとコーヒー、卵料理」や「ごはんと味噌汁、納豆」などの食事で摂れるタンパク質はたった10~12g程度。1日の必要摂取量の3割にも満たなのです。午前中の活動で筋肉の分解が進まぬよう1食あたり20gのタンパク質摂取が重要です。「朝は軽く取り、昼もパンや麺類などの糖質中心、夜だけがっつり肉を食べる、という食べ方では筋肉合成は高まりません。結局、筋肉の分解が優位な日々となり筋肉減退に繋がります。
朝のタンパク質摂取の重要性を教授は以下の様に説明しています。「筋肉の合成は、タンパク質を摂取し、消化し、アミノ酸の血中濃度が上がることによってスタートします」と説明しています。何故ならば睡眠中にアミノ酸濃度が低下するので、起床した時点で既にタンパク質不足状態になっているからです。

要するに運動に限らず人間の生活において、タンパク質摂取による血中アミノ酸濃度を一定に保つ事が重要といえます。
筋肉は自分が気がつかない所で(体内で)日々、毎時間分解と合成を繰り返しているのです。タンパク質摂取量が不十分では筋肉合成スイッチは作用しません。反して、タンパク質不足により筋肉分解が高まり筋肉減少に=運動持続力が減退し、すぐに疲れる身体になってしまうのです。
なお、朝、タンパク質を取ることによる効果は他にもあります。タンパク質は、食欲を抑えるホルモンの分泌に関わっているため、食後の満腹感を高め、食べ過ぎや、仕事中の間食を抑える効果がある事は筋トレマニアの間では周知の事。

柿澤のタンパク質摂取は・・・
 柿澤自身はサプリメントで補給しています。朝25gのプロテイン、施術中の8時間は20gのプロテインまたは機能の高い必須アミノ酸を25g摂取。就寝前にプロテイン25g摂取。運動時は運動90分前に25gのプロテイン、運動中25gの必須アミノ酸とクレアチン5gの水溶液、運動後25gのプロテイン、就寝前25gのプロテイン摂取を励行しています。
ここ重要⇒食後に体がぽかぽかするのは、食事誘発性熱産生(DIT=Diet Induced Thermogenesis)による反応です。必要量のタンパク質摂取は、DITを高めます。筋肉量が多いほどDITは高まるので、筋肉量維持は、脂肪燃焼と痩せやすい体を手に入れることができる方法の一つと言えます。

1食あたり20gのタンパク質は「手のひら」で量る
 筋肉合成スイッチの目安は、1食あたり20gのタンパク質です。この量の目安を教授は以下の様に示しています。調理後カットされた肉や魚は、手のひらと同じサイズが目安。肉や魚の場合タンパク質の含有量は総重量の20%ほどで、手のひらと同じサイズなら重量は約100g、含まれるタンパク質は20gです。
朝食に、乳製品や大豆製品をプラスしたり、サラダにツナやサバ缶を加えたり、間食に高たんぱくのギリシャヨーグルトやチーズ、プロテインバーなどを摂ったりする方法も有効です。日常、自分が嫌にならないタンパク質の摂り方の工夫が重要です。
このことは、必ず将来の健康に繋がります。
また、動物性タンパク質と植物性タンパク質では、動物性が必要なアミノ酸を豊富にバランスよく含みます。魚や肉、乳製品には、必須アミノ酸のロイシンを豊富に含むからです。他方、植物性タンパク質は、必須アミノ酸の種類や量は劣りますが脂質が少なく、脂肪の燃焼を助ける働きを持つアミノ酸のアルギニンを多く含みます。

次回、フレイルについてお話したいと思っています。興味のある方はご期待下さい。
歳を重ねても人の手を患わせることなく、「自らの足で歩けること」が大切です。
介護の必要な身体でなく自ら元気に日々暮らせることの第一歩は、正しい知識による生活と運動です。薬やサプリメントだけで筋肉が増強することはあり得ません。タンパク質の摂取と運動を実行することが実現の早道です。「自分は大丈夫」はあり得ないのです。

興味のある方は、藤田聡著、「眠れなくなるほど面白い たんぱく質の話し」 日本文芸社、850円 をお勧めします。分かりやすくタンパク質の説明がされています。

参考、引用 日経Gooday「筋肉とタンパク質」