新型コロナウイルス対策:アルコール溶液と次亜塩素酸ナトリウム溶液の有効性について
かきざわ整体院 2020/April
新型コロナウイルスの予防には手洗いとアルコールによる対応が効果的です。対応の順番は先ず「手洗い」次に「アルコールによる手、指の消毒」です。手洗いを十分に行えばアルコールによる除菌、消毒は必要ありません。また、身の回りの除菌、消毒にもアルコールは有効ですが、現在入手困難な事とアレルギーがある方は使用できません。アルコール溶液の代用品として次亜塩素酸ナトリウムが有効です。使用方法をご紹介します。
1. コロナウイルスに有用なアルコールの濃度は?
エタノールによる最適な除菌濃度は70~80重量%で、80重量%以上になると逆に除菌力が低下します。近年、エタノールと水の混合溶液の会合状態のモデルから、エタノール濃度が70重量%の時、エタノールと水の分子組成比が1:1となり、疎水基が平面状に並んで広い疎水面をつくり、細菌の細胞膜を破壊して蛋白質を溶出させることで除菌力を示すというという報告が出されています 。
☆疎水基(そすいき)とは、油と水界面で油の方に配向する原子団のことで、疎水性とは、水に対する親和性が低い事を示し、水と混合しにくい物質や分子のこと。
エタノールの除菌効果はサルモネラ菌には80%有効であるがO157には60%の有効性しかありません。新型コロナウイルスは、エンベロープウイルスであるのでエタノールによる対策は有効です。エンベロープとは、脂肪・タンパク質・糖タンパク質からできている膜で、ウイルスが増殖して細胞から飛び出してくるときに細胞の成分をまとって出てきたものです。エンベロープは脂質に作用するもので壊れやすく、エンベロープのあるウイルスはそれにより失活します。エンベロープのあるウイルスは、アルコール消毒剤からダメージを受けやすいのに対し、エンベロープのないウイルス(ノンエンベロープウイルス)は、ダメージを受けにくく、アルコール消毒剤が一般的に効きにくい傾向にあます。手を介して口から侵入し腸管に感染するウイルスは、胃酸や腸管の胆汁酸に抵抗できるエンベロープのないウイルスです 。
これらノンエンベロープウイルスには次亜塩素酸ナトリウム溶液が有効です。
今回のCOVID-19について北里大学のレポートによるとエタノールの有効濃度は50%~80%であることが分かりました。(北里大学、2020,04,17)
2. 次亜塩素酸ナトリウム溶液による除菌について
現在マスク同様にアルコール溶液が大変入手困難となっています。アルコール溶液の代用として次亜塩素酸ナトリウム溶液(市販の塩素系漂白剤の利用可能)も同様に除菌に有効です。
☆希釈液の作り方と使用用途について・・
コロナウイルスを不活化させる次亜塩素酸ナトリウムの濃度は200ppmから1000ppmです。
希釈液の作り方 (市販の塩素系漂白剤の原液濃度6%としたとき)
・200ppm(0.02%)の希釈液の作り方
塩素系漂白剤を1Lの水に原液3.3mlを攪拌して使用する。
用途:日常の環境使用に適した濃度。手すり、ドアノブなどの環境消毒、調理器具・食器の消毒、リネン等の消毒。
・1000ppm(0.1%)の希釈液の作り方
塩素系漂白剤を1Lの水に原液17mlを攪拌して使用する。(強力な除菌・消毒作用あり)
用途:吐物、糞便の処理やこれらに汚染された物の消毒に適する。
日常の除菌・消毒には高濃度なため使用後は必ず水拭きする必要があります。
ご自身の用途に応じて、適宜ご使用下さい。
次亜塩素酸ナトリウムの原液は通販サイトでも入手可能ですが、原液の濃度や量など様々な事と価格もまちまちです。こだわらずドラッグストアで市販の塩素系漂白剤を購入する事をお勧めします。
希釈濃度の自動計算をしてくれるサイト・・・https://calculator.jp/science/shodoku/
主観的ですが、今後も新型コロナウイルス対策必要な知識や注意点をお知らせ致します。
かきざわ整体院 院長 柿澤 修
引用・参考文献
日本食品洗浄剤衛生協会技術情報 エタノールの除菌効果 shokusen.jp/ethanol.html
SARAYA家庭用製品情報より https://family.saraya.com/kansen/envelope.html
北里大学研究所 https://www.kitasato-u.ac.jp/jp/albums/abm.php?f=abm00026588.pdf&n=20200417_プレスリリース_医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について.pdf