香港大学の研究結果による消毒方法の有効性について
2020年4月26日
かきざわ整体院

香港大学の研究結果から新型コロナウイルスはさまざまな物質の表面で高い安定性を持つ事が分かった。一方で一般的な消毒方法はいずれも感染力を失わせる効果を持っていることも確認された。
日本では現在大都市を中心に、感染経路が不明なCOVID-19患者が急増している。濃厚接触した覚えがないのに感染した場合、周囲の物体に付着したウイルスが手指を介して身体の粘膜に到達し感染したと考えられる。それでは、多くの物質の表面に付着したウイルスははどの程度の時間その感染力を維持しているのか。また、どのような方法で消毒すれば感染を防げるのか香港大学の研究結果で明らかになった。

1.    実験方法

実験は、新型コロナウイルスを様々な環境下に置き、感染力を維持している期間を検討した。

実験はすべて、1条件につき3つずつ標本を用意し、感染価を求め平均値を算出したものである。

実験方法は、新型コロナウイルスを含むウイルス輸送液を密閉容器に入れ、

    • 4℃、22℃、37℃、56℃、70℃の環境下で最長14日間保管
    • 1分後、5分後、10分後、30分後、1時間後、3時間後、6時間後、12時間後、1日後、2日後、4日後、7日後、14日後の時点で感染価を測定。

実験結果では、4℃では高い安定性を示し、感染価は14日後までほとんど変化しなかった。
22℃では7日後まで、37℃では24時間後まで感染力を維持していたが、56℃では30分後、70℃では5分後には、感染性のあるウイルスが検出できなくなった。

 

2.    消毒方法の有効性について

実験方法:

      • 新型コロナウイルスを含む液体を様々な表面に5μl滴下し、室温22℃、湿度65%の環境下に置いた。
      • 一定時間(0分、30分、3時間、6時間、1日、2日、4日、7日)が経過した後に、滴下点の上からウイルス輸送液200μlを追加してウイルスを回収し感染価を調査した。
      • 検査対象:コピー用紙、ティッシュペーパー、紙幣、サージカルマスク、ステンレス、プラスチックなど

実験結果:コピー用紙とティッシュペーパーでは、30分後まで感染力を持つウイルスが検出されたが3時間後には陰性化した。紙幣では2日後まで4日後には陰性化した。ステンレス、プラスチック表面では4日後まで7日後には陰性化した。サージカルマスクでは内側で4日後まで7日後に陰性化、表面では7日後まで感染力保持した。

表:新型コロナウイルスが各種表面で感染力を維持している時間を示した

(データ出典:Chin AWH, et al. Lancet Microbe. published online April 2, 2020.)

 

3.    「消毒薬」の効果については一般的な消毒薬はおおむね有効であった。

室温22℃で、新型コロナウイルスを含む液15μlに、通常使用する濃度に希釈した消毒薬135μlを加えて、5分後、15分後、30分後にウイルスの感染価を調査した。

その結果ハンドソープ液のみ、5分後に感染力のあるウイルスが残留したが、それ以外の条件ではウイルスは感染性を失っていた。

今回行われた実験で、新型コロナウイルスは、ウイルスに適した環境下では安定性が非常に高いことを示したが、標準的な消毒法はいずれも有効であることが明らかになった。
マスクをはじめとして、紙幣やステンレス、プラスチックなどの表面には、長時間ウイルスが付着している事を考えると、それらとの接触後できるだけ早く手を洗う、または消毒することが肝要である。
また、マスクの取り扱いには十分な注意が必要で、外すときに出来るだけ触らず密閉できる袋に入れること。若しくは、布製であれば薄めた家庭用漂白剤を袋に注ぎ、浸してから洗濯をする。使い捨てマスクは袋ごと廃棄するなどを心掛ける事だ。

アルコールが現在入手困難な状況です。アルコールに頼らず他の薬剤を賢く使用することで感染力を陰性化できます。一考の価値ありと思います。
当院では、アルコール(エタノール)、塩化ベンザルコニウム液、次亜塩素酸水を主に使用し対策しております。

引用、参考文献:

日経Gooday2020/4/17 大西淳子(医学ジャーナリスト)氏の記事の内容を要約、一部加筆した。