筋肉を養うには「たんぱく質」が必要!

かきざわ整体 Feb.

今回の内容はややマニアックな内容です。
初めにタンパク質のお話しから・・既知なことですが三大栄養素は,たんぱく質(Protein)・脂質・(Fat)・炭水化物(Carbohydrate)です。これらにビタミン・ミネラルが加わり五大栄養素。さらに食物繊維が加わると六大栄養素となります。柿澤がよく話す栄養素は「タンパク質」・・なぜ話すか・・・その答えは「フレイルって何?(2021年Jan.)」でご紹介したように今後の人生で必要となるからです。老後に自分自身で身の回りのことができることが大切です。実現するには体力が必要です。体力を養うには知識・技術・栄養素・休養が必須です。体内では,起床して活動を始めた途端,筋肉の分解が始まり同時に筋合成が行われます。この時必要な栄養素がたんぱく質です。摂取量が活動量を満たさぬまま過ごすと「あ~今日も疲れた」「最近からだが重くて」「以前できたことがおっくうなのよネ」となります。

厚生労働省による「日本人の食事摂取基準2020年版[1]」では,1日に必要なたんぱく質の推奨量が示されています。
☆男性「15〜64歳・65g」,「65歳以上・60g」。☆女性「18歳以上・50g」となっています。

食品100gあたりの含有量
【肉類代表 鳥胸肉】22.3g
肉類の中では高タンパクで、ビタミンB6も含まれ,たんぱく質や脂質の代謝を効率的に促してくれます。
【魚類代表 赤身のまぐろ】26.5g
鶏胸肉より高く、他の魚類と比べても圧倒的に高い数値です。たんぱく質を一気に摂りたい人にはベストな食材と言えます。その他に「タウリン」も含まれ血中のコレステロールの低下、動脈硬化を予防します。
【豆類代表 納豆】16.6g
大豆イソフラボンや食物繊維、ミネラル、納豆キナーゼなど、様々な栄養素を含んでいる。筋肥大だけでなく健康面でもパフォーマンスを発揮してくれます。
効率よく筋力アップするには、タンパク質、必須アミノ酸、糖を摂取するタイミングを以下のようにコントロールします。
必要な摂取量を考慮すると日々の食事だけでは補いきれません。ゆえにサプリメントによる「たんぱく質摂取」が欠かせないのです。

サルコペニアを回避するためには筋肉トレーニングが必須です
筋肉は意識して「刺激」することで発達します。毎日ただ過ごすだけでは筋量は減少するばかりです。ご年配の方が細く見えるのはこの影響です。大きく見える場合は,美味し物の食べ過ぎにより,過度に脂質と糖質を摂取したことにより不健康な肥満状態にあります。この場合は循環器系や消化器系の病になりやすくフレイルとは違ったリスクを抱えることになります。それでは筋肉を養うための基礎知識を少しご紹介します。

mTOR(マンマリアン・ターゲットオブ・ラパマイシン)について

出典:日経Gooday
筋肉を養う際に必要な知識に,mTOR(たんぱく質キナーゼ)があります。(キナーゼはATP(エネルギー物質)などのリン酸を他の化合物に転移させる酵素)  筋肉を養うにはこのmTORを活性化させ筋肉にたんぱく質合成を促す必要があります。ゆえに,筋肉トレーニング時このmTORを意識することがとても大切です。トレーニングでは,筋肉の伸張性を意識してスロートレーニングを行うことでmTORを上手に活用できます。間違った解釈として多いのが(特に男性)重い負荷を早く沢山挙げて(俺は凄いと思い込んでいる)早く筋肉をつけようです。この状態はmTOR機能を抑制し筋肉の合成を抑えてしまい非効率なトレーニングとなります。また持久系のトレーニング(マラソンやジョギング等)により高心拍状態が続く運動も同様です。(走っただけでは上手に痩せることはできないのです)[2]

必須アミノ酸について(体内では作られないアミノ酸)
必須アミノ酸とは,バリン・ロイシン・イソロイシン(BCAA)・メチオニン・フェニルアラニン(ドパミン,ノルアドレナリンの材料)・トリプトファン(セロトニンなど神経伝達物質材料,ナイアシンになる)・ヒスチジン(白血球の生成)・スレオニン(成長を促し,脂肪肝を抑える)・リジン(脂肪燃焼に関わるカルニチンの材料)の9種類になります。
アミノ酸は,筋肉合成だけでなく,髪や肌を美しくし,体脂肪や中性脂肪を落とします。慢性疲労の軽減,甲状腺の機能の調整,女性ホルモンバランスを整える(更年期症状の緩和)など,身体のさまざまな機能に大きくかかわっています。不足させないためにも,良質なタンパク質を意識的に摂取することが必要です。
バリン…筋肉をつくるために必要な分岐鎖アミノ酸です。
マグロ赤身(刺身)7切れで1,300mg、プロセスチーズ1切れで320mg
ロイシン…筋肉をつくるために必要な分岐鎖アミノ酸です。
カツオ(刺身)7切れで1,800mg、鶏むね肉100g(生・皮なし)で1,900mg
イソロイシン…筋肉をつくるために必要な分岐鎖アミノ酸(BCAA)です。
豚ロース100g(生)で1,000mg、卵1個(生)で336mg
メチオニン…タンパク質合成にあたって最初に必要となるアミノ酸です。
鶏むね肉100g(生・皮なし)で640mg、無調整豆乳1パック(小)で104mg
フェニルアラニン…ドーパミンやノルアドレナリンなど神経伝達物質の材料になります。
牛レバー100g(生)で1,100mg、マグロ赤身(刺身)7切れで970mg
トリプトファン…セロトニンなど神経伝達物質の材料やナイアシンになります。
牛・豚レバー100g(生)で290mg、卵1個(生)で99mg
ヒスチジン…ヘモグロビンに多く含まれ、白血球の生成に関係しています。
カツオ(刺身)7切れで2,500mg、マイワシ100g(刺身)で1,000mg
スレオニン…成長を促し、脂肪肝を抑えます。
マグロ赤身(刺身)7切れで1,100mg、豚ロース100g(生)で1,100mg
リジン…穀物類には少ないアミノ酸で、脂肪燃焼に関わるカルニチンの材料になります。
真アジ100g(刺身)で1,900mg、凍り豆腐1枚(乾)で510mg

先ずは20gの「タンパク質」摂取から
1食で20g以上のたんぱく質摂取により血中のアミノ酸濃度が上昇し,mTORが作動します。筋合成を促す役目は,必須アミノ酸の分岐鎖アミノ酸(BCAA)です。特にこの中のロイシンがmTORに強く作用します。このロイシンは肉,魚,卵,牛乳,大豆などに含まれ,吸収が早いのはホエイプロテイン(牛乳のたんぱく質)です。ソイプロテイン(大豆由来のたんぱく質)との比較では,ホエイプロテインの血中ロイシン濃度がソイプロテインの約1.5倍であったとの報告があります[3]

タンパク質の過剰摂取で太る?
よく受ける質問に「タンパク質って太るでしょ?」です。タンパク質は1gあたり4kcalの熱量を持ちます。普段の食事とのバランスを考慮すれば肥満になることはありません。

また2020年現在,たんぱく質の過剰摂取による身体への影響の報告はありません。

いかがでしたでしょうか・・・
これからも、生活に必要と思われる内容を発信してまいります。

[1] 厚生労働省HP 日本人の食事摂取基準 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08415.html
[2] https://sprint-condition.info/category10/entry209.html#i3 を要約
[3] https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/18/011800005/110300048/?P=5